日本将棋連盟東葛支部 柏将棋センター

今週のつぶやき

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【番外編】「オイシいヨーロッパ」

2022.11.30今週のつぶやき

「オイシいヨーロッパ」
文: 九段 前田祐司

コロナウイルスの猛威が第8波となって現れてきました。
いったいいつまで続くのでしょうか? 加えて、新たな変異株も出来(しゅったい)し、まったく先が見えない状況です。一寸先は闇。いつどうなるかは分からない状況下では、せめて美味しいものでも食べ、悔いが残らないようにしておきたいものです。
ということで、今回は“ヨーロッパ”の明るいお話、今から21年前のオ・ハ・ナ・シです。

平成13年(2001年)の5月、私は久しぶりに海外普及のお手伝いをしに行くことになりました。良き先輩である、青野照市九段からのお誘いです。先輩が国際交流基金から「日本の伝統文化を世界に紹介する」というその派遣依頼を受け、先輩の弟子の安食女流2級(現女流二段)ともどもの旅となったのです。期間は5月4日から17日の2週間。場所は、♪地球の上に朝がくる~、その裏側は夜だろ~、西に国ならヨーロッパ~#ということで、イギリス、ノルウェー、スウェーデンの3カ国。ちなみに、安食さんは清泉女子大学卒の才媛(専攻はスペイン語)。当時はNHK杯戦の記録係を務め、芳紀ン歳の独身とあって人気は№1。気品を備え、いかにもヨーロッパにはピッタんこカン・カンだったのです。

最初の訪問地はイギリスで、到着日はロンドン観光となりました。残念ながら安食さんは風邪気味で、大事を取ってホテルで休養。青野先輩と私だけで出掛けました。先輩はこれまで何度もロンドンを訪れ、土地勘があります。
「前田君、ロンドンは良い所だよ」
きっと先輩が連れて行ってくれる所は、“ブルーの瞳にブロンド髪の綺麗どころ=ロンドンのカブキチョウだ”と、期待は高まるばかりです。ウッシッシ!
しかし、地下鉄を乗り換え、しばらくすると徐々に空気は清々しさを増すばかりだったのであリンス。で、着いた所は「大英博物館」。でも、確かに美女はいました。当日は「クレオパトラ展」が催されていたのですヨ。絶世の美女に間違いはないのですが、ボクチャンは生きている女性に会いたかったのよネェ~。
で、次は「ピカデリーサーカス」にお供をしたのです。「サーカス」といっても、あのサーカスではありませんヨ。広場の名称=通りが合流する合流点のことを言い、円形になっている場所を指します。ピカデリーサーカスは、いろいろな商店が建ち並んでいる、ショッピングエリア。先輩はここで買い物です。でも、ボクチャンは興味がありません。時刻は午後2時。6時の夕食まですることがなくなったボクチャン。それを先輩に言うと、近くにある「ハイドパーク」という公園に案内してくれ、先輩はまたピカなんとかに戻って行ったのです。
さて、ボクチャンは何をしたのでしょう? ロンドンの昼下がり、ハイドパークといえば……池でボートを漕ぐ男が似合います! バッキャロ~!
こうしてロンドンの初日が過ぎていったのでありました。
ところで、イギリスの「食」ですが、ホテルの朝食が毎回、当然ながら洋食ということもあり、昼食と夕食は中華が多かったですね(日本食の店は当時、1軒しかありません)。その料理、(洋食+中華)÷2という感じで、なぜか紹興酒はナシ。また、必ずケッチャプが置いてあり、現地の人はすべての料理にそれをかけて食べるんです。不思議な光景でしたね。

さて、イギリスの次はノルウェーに飛びましょう。ここも良い所でした。
首都のオスロに着いたら大使館の人達が出迎えてくれ、慰労の席を設けてくれたのです。大使自ら先頭に立ち、地元で最高級のシーフードレストランへ。そしてウエーターを呼び、「君、このお店で一番高いワインを」と仰るのです。これを聞いて、「それはたぶん、ノルウェーで一番美味しいワイン」とゲスの勘繰り。
しかし、ワインは門外漢の私にも、その味は格別と分かり、また料理も最高!!
美味しいのなんの!!
大使: 「前田さん、味はいかがですか?」
前田: 「とっても美味しゅうございます」
大使: 「君、もう1本、もってきて」
実はこの時期、日本では新聞・テレビで外務省バッシングが盛んに報道されていました。よって、外務省関係の人は悪い人というイメージがあったのですが、どうやらそれは違うようで、マスコミもいい加減だとつくづく思ったのですヨ。食い物に弱いボク……。

ノルウェーの次はスウェーデンです。こちらも最高の待遇でした。
ところで、私は長年、感じていた疑問を各国で聞いてみたのです。
Q:どうして皆さん(こちらのヨーロッパの人)は、ウイスキーをストレートで飲むの?
そう聞くと、
「水割りで飲みます。ウイスキーのような度数の高い酒をストレートで飲んだら体を壊します」
「では、ブランデーは?」
「水割りです」
「日本では、ブランデーはストレートが常識ですが…」
「そんな馬鹿な…」
また、
「日本では、肉料理には赤ワイン、魚料理には白と言われています」
「そんな決まりはありません。美味しければどちらでもOKです」
「では、赤は常温、白は冷やす?」
「ワインは冷やして飲んだ方が美味しいので、どちらも冷やして飲みます」
この質問、延べ百数十人にぶつけましたが、皆、上記のような答えでした。聞いてみるもんだナァ~。

おっと、肝心のお仕事ですが、イギリスではケンブリッジに2泊し、「ヨーロッパ選手権戦」での審判と指導対局を、青野照市審判長のもとで務めさせていただきました(ロンドンは2泊)。
ノルウェーは4泊5日で、現地の社会人の将棋同好会での指導対局が主な仕事でした。
スウェーデンは2泊3日で、現地の小学校&中学校での指導対局が主でした。
満腹・至福の2週間。ジャンジャン!
 
 

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